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「おや、アンジェリーク。どうしました?」 「ニクスさん! あの・・・お願いがあるんです・・・」 思い切って声を掛けてみたものの、本人を前にするとやっぱり緊張する。 アンジェリークはうつむき加減に、最大の勇気を振り絞って、 「私と踊ってください!」 そう告げた。 「私とですか?」 「ダメでしょうか?」 「私とでは、交流会の意義には反しますよ」 やんわりとニクスはそう言った。 確かに、交流会なのだから、カルディナ側の人間を誘うべきだ。 かっと顔を赤く染めたアンジェリークは、非礼を詫びようとしたが、それより早くニクスが口を開く。 「・・・ですが、それ以上にあなたと私の交流を深めるほうが大切ですから」 「え?」 すぐにはニクスの言っている意味がわからなくて呆然とするアンジェリークに、ニクスはすっと手を差し伸べた。 「一曲踊っていただけますか、マドモアゼル。メルローズの代表として、皆に私たちのダンスを見せて差し上げましょう」 にっこり微笑まれて、ようやくダンスに誘われていることに気がついたアンジェリークは、ぱっと晴れやかな笑顔を見せた。 「はい! お願いします!」 「ええ。参りましょう」 ニクスはアンジェリークの手を取ると、さりげなく彼女の耳に口元を寄せた。 「誘ってくださって、嬉しかったですよ、アンジェリーク」 「え?」 こっそり囁かれた言葉を聞き逃したアンジェリークに、 「何でもありません」 すっと目を細めて笑みを深めると、ニクスはそっと彼女の身を抱きしめた。 |